星に願いを/クリフ・エドワーズ
WHEN YOU WISH UPON A STAR  / CLIFF EDWARDS 


冬は水蒸気や埃などの影響も少なく、星の観察にはもってこいの季節である。しかしずっと夜空を眺めるには寒さとの戦いをしなければならない。先だってのシシ座流星群とやらの折には、我が家の娘たちは掛け布団持参で屋上のベランダに寝転がって流れる星たちを眺めたらしい。昔から流れ星に3つの願いを叶えると成就するという言い伝えがあるが、サーッと流れる間に3つの願いはチト無理な気もする。よほどタイミングが良くないと3つは唱えられない。それにしても本当に星は願いを聞いてくれるのだろうか?

さて、ウォルト・ディズニーの長編アニメに「ピノキオ」というのがある。ご存知かと思うが、これはディズニー初の長編アニメ「白雪姫」(1937年)の大成功に気をよくしてその第2弾として発表されたもので、原作はイタリアの児童文学家コロディが書いた童話である。この映画の中で、主人公ピノキオを陰日なたと手助けする“こおろぎのジミニー・クリケット”が星に願いをする場面がある。そこで歌われるのがズバリこの曲「星に願いを」である。

ジミニー・クリケットの声の主はボードビリアンの“ウクレレ・アイク”ことクリフ・エドワーズで、映画「雨に唄えば」の主題歌が彼のオリジナル・ヒットであるといえばその実力のほどがおわかりいただけよう。その彼の軽妙な声の演技とその歌声のおかげでこのアニメ映画「ピノキオ」はアカデミー主題歌賞を受賞した。

「星に願いを」は映画を離れ数多くの歌手やジャズ・ミュージシャンによっても演奏されている。メリー・マーティン、ローズマリー・クルーニー、ルイ・アームストロングのヴォーカル物や、ヘンリー・マンシーニ、マントヴァーニなどの楽団演奏に始まり、ケニー・ドリュー、デイブ・ブルーベック、ビル・エヴァンスなどのピアノ演奏にも出色が多い。とくにフレディ・ハバード、ジム・ホールを加えたビル・エヴァンスのクインテットがトータルなサウンドを聴かせてくれる。

僕自身ディズニー・アニメが大好きなこともあって、長女が生まれた時からずっとディズニー・アニメを買い続けている。この「ピノキオ」はもとよりクラシック・シリーズはすべて揃え、今でもたまに一人で愉しんでいるのだが、なかでもお気に入りは実写による劇映画とアニメを組み合わせたファンタジックな作品「南部の唄」である。黒人のリーマス爺さんが子供相手におとぎ話を聞かせる形式でアニメ部分が挿入される。この合成技術は見事で、のちに手塚治虫によるTV番組「ヴァンパイア」でもこの手法が試みられた。しかし予算不足が作品の稚拙さにつながり、あえなくも惨めな結果となった。

話が飛んだついでに書くと、この「南部の唄」をもとに作られたのが、東京ディズニーランドの人気アトラクション「スプラッシュ・マウンテン」である。むかし家族で一日ディズニーランドを楽しんだことがあったが、このアトラクションの最後のシーンを記念撮影されていることに気づかずに、情けない格好で写真に収められ後日談にされたことがあった。思い出すだけでも顔が熱くなってしまう。

映画「南部の唄」には有名な歌「ジッパ・ディー・ドゥ・ダー」がある。ウォルト・ディズニー作品からは「星に願いを」を始めとして数多くの名曲が生まれており、「白雪姫」から「いつか王子さまが」(SOMEDAY MY PRINCE WILL COME)、「ハイ・ホー」、「シンデレラ」から「ビビディ・バビディ・ブー」、「ピーターパン」から「きみもとべるよ!」(YOU CAN FLY!)、「わんわん物語」から「ラ・ラ・ルー」、「べラ・ノッテ」と、これは書いても書いてもきりがなさそうだ…。

またまた話は変わるが、我が家に目下大学受験中の次女がいる。3月初旬にしてまだ行き先が決まっていない。彼女にしてみれば、今まさに藁をもつかみかねない状況で、「星に願いを」などと悠長なことを言っておれない心境であろう。


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